データサイエンスとは?
データサイエンスとはデータ収集や、データから利用価値の高い情報を抽出する原理と方法をまとめた用語です。
データサイエンスを利用することで、慣習や勘では解決できなかった問題解決の方法を、自動的に発見することができます。
次に情報の抽出原理と方法について紹介します。
情報の抽出は、傾向からデータパターンやモデルを作成することが最終的な目標です。
情報の抽出ですが、これまでは統計学やスコアリングの手法が一般的でした。
近年では、コンピュータの性能が飛躍的に向上していることから、ディープラーニングや機械学習が注目されています。
むしろ最近のデータ分析方法はこちらの方が中心です。
特にディープラーニングは人の脳細胞(ニューロン)を模したプロクラムが、自動的に収集したデータを学習することで、人間では発見できなかったデータの傾向を見つけることができる方法です。
しかし、上記で紹介した事例はあくまで方法です。
データを抽出した後は、パターンやモデルの評価と修正が必要です。
例えば、テストデータを使用して分析した結果が、作成したパターンと一致するか評価し、一致しない場合はデータの抽出方法を修正する必要があります。
データサイエンスを行うための必要スキル
データサイエンスに必要なスキルは様々なため、IT系のスキルと非IT系のスキルに分けてご紹介します。
非IT系能力:数学力(確率、統計、行列、微積)
データを分析するには数学能力が必須です。
特に確率や統計はデータサイエンスとして必須知識です。
また、膨大な数値を扱う際は行列の知識が必要だったり、ディープラーニングや深層学習の理論に微分積分が必要になるなど、基礎的な数学力が必要です。
使用する数学のレベルも大学の学部1・2年生で受講するレベルになりますので、高校から数学に触れていない人は、必要になった分野だけでも学習しましょう。
非IT系能力:マネジメント能力
データサイエンスは膨大なデータを扱うため、チームで業務を行うことが通常です。
管理職になる人は、チームの個々人のデータサイエンス能力を把握し、適切な負荷調整と評価を行うため、マネジメントスキルが必要となります。
非IT系能力:マーケティング
ビジネスにおいてディープラーニングや機械学習は、利益率の高いお客様へ、いかに効率よく営業できるか突き止めるために利用されました。
そのため、マーケティングの知識が無いと、ディープラーニング結果のフィードバックや評価モデルの修正が行えないので、正しい結果を導出できません。
IT系能力:ITリテラシー
ITエンジニアの方々にとっては心配ないですが、非ITエンジニアの方々もIT技術に関する知見が必要です。
特定分野の知識ではなく、幅広い知識の下地が必要なので、情報技術者試験の『ITパスポート』レベルは理解しましょう。
IT系能力:プログラミング能力
昨今のデータサイエンスでは回帰分析やディープラーニングが、プログラミングによって行われています。
そのためデータサイエンスを行うにはプログラムスキルの所持が前提となります。データサイエンスのプログラミングは、ほぼPythonがデファクトスタンダードであるため、Pythonの基本文法や各種ライブラリに成熟していることが要求されています。
データサイエンスを行うためにはデータが必要です。
データ収集の方法として、インターネットから自動的にデータを収集するWebスクレイピングがあり、こちらもPythonが多く使用されています。
データサイエンスとpythonの相性は良いでしょう。
またPythonはWindows やMicorsoft Officeの操作も行えるため、業務効率向上のためにも勉強をお勧めします。
IT系能力:ネットワーク、クラウド技術
データサイエンスの主目的はビッグデータの解析ですが、データ量が多くなるほど分散コンピューティングやクラウドへのデータ保管が必要です。
データサイエンスに使うスキルで資格になっているものは? 非IT編
データサイエンスに使用するスキルでも、IT業界以外で使用されているスキルがあります。今回は、2つの資格と概要を紹介します。
統計検定
統計検定2級では、大学学部1・2年生で学習する数学の知識を問われるので、データサイエンスを学びながら取得できる資格です。
学習時間の目安は60〜70時間なので資格難易度は低いですが、学習内容はデータサイエンスにとって必要な物ばかりですので、資格取得をおすすめします。
学習方法としては参考書を理解できるまで解けば十分合格可能で、資格スクールや有料学習サイトに申し込む必要は無いでしょう。
問題範囲や過去問と回答が統計検定公式サイトに記載されているため、興味がある方は覗いてみましょう。(統計検定2級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate (toukei-kentei.jp))。
マーケティング検定
非IT系の方々は、マーケティングに利用する目的でデータサイエンスを学習している人も多いと思います。
データサイエンスにおいては解析手法だけではなく解析対象についても熟知し、解析結果が実業務に使用できるか否かを吟味する必要があります。
そのため、マーケティング能力が一定程度あることを証明するためにマーケティング検定の取得をお勧めします。
マーケティング検定は1,2,3級の難易度があり1級が最も高難易度です。
一般に2級あれば社会で活躍できる十分なマーケティング能力を持っていることを証明できるので、2級の取得をお勧めします。
勉強時間は150時間程度と難易度も比較的低く、データサイエンスと並行して勉強できます。
データサイエンスに使うスキルで資格になっているものは? ITエンジニア編
データサイエンスに使用するスキルの中でも、ITエンジニアにとって重要な資格を3つ紹介します。
情報処理技術者 基本情報技術者、応用情報技術者
データサイエンスは幅広いIT知識を必要とするため、情報処理技術者の資格をお勧めします。
情報処理技術者は日本を代表する国家資格の1つで複数の階層に分かれており、ITエンジニアとして働く場合は基本情報技術者(スキルレベル2。以下FEと略す)の資格は必須です。
IT業界ではFE資格が無いとITエンジニアを名乗れない風潮もあるほどです。
データサイエンスではFEに必要なスキルよりも、高度な技術力や知識が必要であるため、上位資格である応用情報技術者(スキルレベル3。以下APと略す)を取得できれば良いでしょう。
必要な知識はデータサイエンスの勉強と並行すれば良いと考える方もいらっしゃいますが、あまりにも基礎知識が抜けているようでは学習効率が一気に下がります。
情報処理技術者は受験者が多いため独学でもわかりやすい参考書が多いため、最初にまとめて学習した方がトータルでかけた時間は少なくなるはずです。
Python認定試験 (エンジニア認定基礎試験、エンジニア認定データ分析試験)
ディープラーニングでは統計やグラフ作成、回帰分析・機械学習・ディープラーニングなど様々なデータ処理を行います。
Pythonはこれらのデータ処理を得意とするプログラミング言語で、コードが簡単であることからデータサイエンスにおける必須スキルとなっています。
Pythonの認定試験は複数存在しますが、初めて資格を受ける人は『エンジニア認定基礎試験』か『エンジニア認定データ分析試験』の取得をお勧めします。
前者はpythonの基本文法の習熟度を確認する資格で、後者はpythonを用いたデータ分析のスキルを確認する資格です。
特にエンジニア認定データ分析試験は、資格の内容がデータサイエンスと重複していますので、お勧めです。
G検定、E資格
ディープラーニングの資格としてG検定とE資格があり、日本ディープラーニング協会(JDLA)が運営しています(一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】 (jdla.org))。
G検定は非エンジニア向けの資格であり、検定の内容はディープラーニングが発達した背景や用語の意味を問う質問が殆どで、計算や実際にディープラーニングのプログラムを組むことはありません。
そのため、データサイエンティストとして働こうと考えている人はE資格の取得をお勧めします。
E資格はエンジニア向けのディープラーニング関連資格です。
G検定と違い、E資格では行列式の計算や分散・標準偏差など計算問題が多くなります。
また、TensorFlowやPyTorchを使用した深層学習や、ディープラーニングに使用するPythonライブラリを使用した試験問題も出題されるため、合格できればデータサイエンスの実力を証明できます。
注意点としてE資格は受験資格として、JDLA認定の学習講座を修了する必要があります。
認定講座は複数ありますが、最低でも受講料は15万円程度となっております。
E資格の受験料は33000円(記事執筆時)ですので、E資格取得のために20万円程度の費用がかかる点は認識しておきましょう。
データサイエンスをやる人が心がけることは?
データサイエンスで重要なマインドは、ただデータ分析を行うのではなく、分析したデータを実社会の問題解決へ応用することです。
データサイエンスが実社会で最も利用されているのはIT関連ビジネスです。ビジネスの最終目標は利益を得ることなので、数多くの障害を乗り越える必要があります。
データサイエンティストはビジネス上の障害をどのように乗り越えるか常に意識する必要があります。
例えば、複数の利害関係者の主張が拮抗していてビジネスの方針が決定していないならば、適切なデータサイエンスによって顧客が要求しているものを見つけ出し、顧客要求を高める方向にビジネスを誘導する必要があります。
また、効果的なインターネット広告やダイレクトメールの送付方法が分からないときは、利益率が最大となる顧客層をデータサイエンスで見つけることを考えます。
決してデータサイエンスで間違ってはいけないことは、データ分析が主体になってしまい、データ分析結果の吟味やビジネスへの応用が疎かになってしまうことです。
まとめ
データサイエンスに必要なスキルと関連資格をご紹介しました。
非IT系、IT系ともに資格がありますので、データサイエンスの学習と並行して勉強すると、より理解が深まります。キャリアアップにも繋がりますので、積極的に取得を試みましょう。