データサイエンス概論

データサイエンティストに必要な知識とスキルとは?丁寧に解説!

データサイエンティストの仕事は多岐に渡りますが、求められるスキルには何があるのでしょうか。実は目指す職種や仕事内容によって大きく異なるため、分野別に理解することが大切です。本記事では初学者に向けてわかりやすくデータサイエンティストの仕事内容から求められる知識をスキルを解説します。

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、大量のデータから価値ある情報を抽出し、ビジネスや経営の意思決定を支援する役割を担っています。それでは、詳しい仕事内容や関連する職種を見てみましょう。

仕事内容

データサイエンスに関する主な仕事は、大量のデータから価値ある情報を抽出し、ビジネスの意思決定に活用することです。具体的な業務内容は多岐にわたりますが、大きく次の3つに分けられます。

  1. データ収集と前処理
  2. データ分析とモデル構築
  3. 結果の可視化と知見の提示

前提として収集されたビッグデータは欠損値が含まれていたり、値の形式が不揃いであったりと、そのまま扱うことが困難な場合がほとんどです。そのため、データサイエンティストはデータを整え、計算可能な状態に変換させます。

次に行う作業は、機械学習アルゴリズムをプログラミング言語で実装し、得られた分析結果を分かりやすい形で可視化することです。最終的には発見された知見を経営層や社員に対して提示します。

そのため、データの取り扱い方法やプログラミング、統計学などの高度な専門知識と、コミュニケーション能力が求められる職種です。データサイエンティストを目指す方は、顧客が必要とする情報を抽出し、隠れた規則性を見つけ出すためにも、各分野での知見を深めてみましょう。

関連する職種

データサイエンティストの他にも、似た職種はいくつかあります。今回はデータアナリストとAIエンジニアについて、データサイエンティストと比較してご紹介します。

データアナリスト

データアナリストは、データを活用して業務改善やビジネス施策の立案を行うお仕事です。複数のデータベースからデータを収集し、指標化やクロス集計などの集計処理を行います。そして基本的な統計分析や可視化を行い、業務の現状や課題をレポートにまとめ、業務改善や新規施策の立案の支援も業務の1つです。

データアナリストはデータサイエンティストと比べてクライアントに近い立場で、データを扱う能力に加え、ビジネスリテラシーと課題発見力、コミュニケーション力が求められます。

AIエンジニア

AIエンジニアの主な仕事は、人工知能や機械学習の技術を製品やサービスに実装する役割です。データサイエンティストが構築したモデルのパフォーマンス調整やAPI化を行い、モデルの監視・自動学習・更新のためのパイプラインやシステムを構築します。

さらに、機械学習モデルを組み込んだAIシステムの開発や、システム運用も担当することから、AIエンジニアにはプログラミング力に加え、機械学習の理論的な知識と、実務での適用力が求められます。

機械学習の一種である深層学習では、高度な数学の知見と高いプログラミングスキルが求められるため、専門的に学習することが必要です。AIエンジニアを目指す方は代表的な深層学習の論文を読み、実装を通して学習してみましょう。

データサイエンティストが誕生した背景

データサイエンティストは比較的新しい職種です。「なぜデータを取り扱う職種が誕生したのか」その理由を紐解くことで、社会で求められるスキルや仕事内容が理解できるでしょう。

ビッグデータ時代

最近ではパソコンやスマホといった電子機器が一般家庭にも普及し、ユーザーからのデータが大量に集められるようになりました。コンピュータ性能も向上した影響で、情報量の多いデータであってもデータベースに保存することが可能です。

ビッグデータが収集され続けた現代では、その中から価値のある情報を抽出して有効活用する重要性が拡大しました。データサイエンティストはこの大量にあるデータを上手く役立てることが最終的な目標です。

分析アルゴリズムの発展

機械学習の技術、特に深層学習(ディープラーニング)が目覚ましい進歩を遂げ、データサイエンスの領域を大きく広げています。深層学習とはニューラルネットワークを使った機械学習の手法の1種で、画像認識や自然言語処理など、従来は人手に頼らざるを得なかった作業を機械が代替できるようになる技術です。

例えば、チャットbotや医療画像診断、画像動画の生成などが可能になり、自動化や新サービスへの応用が期待されています。

参考:https://www.stat.go.jp/teacher/dl/pdf/c4learn/materials/fourth/dai1.pdf

データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンティストは幅広い分野の知識が求められる職種であるため、バランス良く学習することが求められます。例えば、データサイエンスの理論を形作る学問は数学で、基本的にどのアルゴリズムにも数学的な意味が込められています。

数学といっても、確率統計や微積分, 線形代数などの分野が活用されており、大学1, 2年程の知識を身につけると理解が捗ります。機械学習に関しても、単純な分析アルゴリズムに加えて、大規模な深層学習モデルなど種類が豊富です。そのため、代表的で良く扱われる手法を中心に学び、スキルを身につけていきましょう。

そして欠かせないことがデータ分析をプログラムで実装するスキルです。データの傾向を掴むためにも自身でプログラムを書き、分析する技術が求められます。データサイエンスの分野を学ぶには、基本的にPythonというプログラミング言語を中心に勉強すると良いでしょう。

参考:https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/incompany-training/pickup/data-science/deta-skill/

データサイエンスの勉強法

データサイエンスを勉強するといっても、目的に応じて勉強方法を選択することがおすすめです。まず、仕事として学ぶ場合は顧客の課題を発見し、改善のためにPython等のライブラリを用いてプログラム実装することを目標にしましょう。実際に得られた結果を理解しやすい形にして、説明することも大切です。

次に、データサイエンス自体の研究を目指して学ぶ場合は、原理となる数式の意味やアルゴリズム全体の理解が求められます。高度な数学的知識やプログラム実装能力が必要なため、学習は長期間にわたるでしょう。

では、データサイエンスに関連する知識の具体例をご紹介します。

数学

数学は、データサイエンスの基となる重要な学問です。具体的な分野としては、確率統計や微積分、線形代数や機械学習アルゴリズムで活用される最適化理論などが必要です。機械学習は数理モデルであるため、基本的に全てが数式で表現されます。

単純なアルゴリズムは線形回帰やk-means法などが有名で、ライブラリなしでも簡単に実装できるため、プログラミングが得意な方はぜひ試してみましょう。

分析アルゴリズムの理解があると良いですが、実際に現場で実装する際にはあらかじめ用意されたライブラリを用いるため、深い数学の知識はなくても開発は可能です。

コンピュータサイエンス

データサイエンスの理論や手法を実装するためには、コンピューターサイエンスの知見と技術力が求められます。特にプログラミングの知識は欠かせません。

データの収集, 前処理, 分析, 可視化といった一連の作業をプログラムによって実装する必要があります。利用されるプログラミング言語はPython、R、SQLなどが一般的で、データの構造化の仕方や、効率的なアルゴリズムの設計に関する知識が大切です。

例えば、機械学習ライブラリはscikit-learnが有名で、特に深層学習の実装ではPyTorchやTensorFlowが一般的です。すでに実装されたアルゴリズムはライブラリを通して利用できるため、ぜひ試してみてください。

ドメイン知識

データサイエンスを実際のビジネスや産業に役立てるには、分析対象となる領域の深い理解が欠かせません。例えば、金融分野では財務・会計の知識、医療分野では生物学・生理学の素養などがそれぞれ求められます。

こうしたドメイン知識があれば、分析結果を的確に解釈し、より実践的な施策につなげられるようになります。単なるデータ解析に留まらず、本当に価値のある成果を生み出せるよう、対象領域に精通していることが重要です。

まとめ

データサイエンティストには数学や分析手法, ドメイン知識など幅広い分野に関する知見が求められ、それを実装するためにはプログラミングスキルも重要です。自分が目指すデータサイエンティストの姿にもよりますが、まずは基本的なアルゴリズムを理解し、用意されたデータで分析してみましょう。ある程度知識が身に付いた後は、Kaggleの初学者向けコンペに参加することがおすすめです。