データサイエンス概論

会計士とデータサイエンティストはどちらになるべき?重要性や将来性を比較!

会計士とデータサイエンティストのどちらになるべきか、どちらの資格を取るべきか悩む人は多いです。

本記事では会計士とデータサイエンティストの比較をします。会計士とデータサイエンティストの資格や職業が気になる方は参考にしてください。

会計士とは?

会計士とは監査や会計の専門家です。公認会計士の資格を持つものを一般的に会計士と呼びます。以下で会計士の基本的な点を解説しましょう。

基本的な業務

会計士が担当する主な業務は以下の通りです。

  • 監査
  • 会計
  • 税務
  • コンサルティング

上記のうち監査業務は公認会計士の独占業務です。企業や公益法人などに対して独立した立場から監査を行い財務情報の信頼性を担保します。法律で義務付けられている法定監査を担当するケースが多いです。

会計業務は帳簿・決算書への記載や集計・加工などを行います。AIの導入により会計業務の自動化が進んでいるのですが、人による判断が必要なケースは多いです。

会計士が税務を担当する場合もあります。会計士は税理士登録して活動できるからです。税務代理や税務書類の作成、税務相談・助言などを行います。

会計や税務の専門家としてコンサルティングを行う会計士は多いです。経営戦略や組織再編などの相談・助言や提案を行います。

資格

会計士になるには国家資格である公認会計士の試験に合格しなければいけません。受験資格の制限はなく誰でも受験できます。国家資格の中では難易度は高く、しっかりと勉強しなければ合格は難しいです。

公認会計士以外にも会計の仕事に関する資格はたくさんあります。会計系の主な資格は以下の通りです。

  • 日商簿記
  • ビジネス会計検定
  • 税理士
  • BATIC(国際会計検定)

日商簿記は受験者が多く、昔から会計の資格としてメジャーなものです。日商簿記は財務諸表の作成、ビジネス会計検定は財務諸表の分析をするスキルを証明できます。税理士は税務のスペシャリストです。BATICは英語で会計業務ができるスキルを身に付けられます。

データサイエンティストとは?

データサイエンティストとはどんな職業なのか基本的な点を説明します。

データサイエンティストの業務

データサイエンティストはデータの分析を通して新しい商品・サービスの開発や施策の提案をする職業です。近年は大量のデータを収集・蓄積できるため、データ分析の価値が高まっています。データ分析の専門家としてデータサイエンティストは注目されているのです。

データサイエンティストの主な業務は以下の通りです。

  • データ分析環境の構築・運用
  • データ分析
  • レポート作成
  • ヒアリング
  • コンサルティング

データサイエンティストはデータ収集・分析のための環境構築から実際の運用、データ分析まで担当します。データ分析の結果を報告するためのレポート作成も重要な仕事です。

また、データ分析を始める前に顧客からヒアリングをするケースもあります。ヒアリングを行い、ビジネス上の課題を見つけ出した上でデータ収集・分析の業務に進むのです。

データサイエンティストがコンサルティングを行うケースもあります。データ分析のプロジェクトの提案・推進や分析環境構築のサポートなどを行う業務です。

データサイエンティストの資格

データサイエンティストに関連する資格として主なものをまとめました。

  • 統計検定
  • オラクルマスター
  • 情報処理技術者試験
  • G検定・E資格
  • Python3 エンジニア認定データ分析試験

データサイエンティストには統計学IT、データベース、プログラミングの知識が求められます。これらのスキルや知識を身に付けてアピールするのに上記の資格は役立つでしょう。

統計検定は統計学の基本的な知識やスキルを検定する試験です。オラクルマスターはオラクル社のデータベーススキルを認定します。情報処理技術者はさまざまな試験区分が用意されていて、ITに関する幅広い知識とスキルを身に付けられる資格です。

G検定・E資格はAI技術に関する知識や技術を証明できます。データサイエンティストは業務でAI・機械学習を活用するケースが多いです。AI関連の資格はデータサイエンティストにとって受験する価値があります。

実際にデータサイエンティストがプログラミングをする際にはPythonを扱うケースが多いです。Python3 エンジニア認定データ分析試験を受験すれば、Pythonによるデータ分析のスキルや知識を身に付けられます。

データサイエンティストの年収

dodaの2020年9月〜2021年8月の平均年収データによれば、データサイエンティストの平均年収は512万円でした。20代の平均年収は427万円、30代は598万円、40代は729万円です。IT系の職種全体の平均年収は438万円のため、データサイエンティストは年収水準が比較的高いといえます。

会計士とデータサイエンティストの比較

会計士とデータサイエンティストのさまざまな点を比較しました。

会計士 データサイエンティスト
役割 ・企業外部に会計情報を提供する

・意思決定に役立つ会計情報を経営陣に提供する

・企業の抱える課題を解決するためにデータ分析を行う
向いている人 ・数字に強い人

・論理的思考ができる

・細かな作業が得意

・経営に興味がある

・数字に強い人

・論理的思考ができる

・細かな作業が得意

・情報収集が得意

必要なスキル ・論理的思考力

・ITスキル

・コミュニケーション力

・数学・統計学の知識

・ITスキル

・プレゼンスキル

就職先 ・一般企業

・監査法人

・会計事務所

・コンサルティングファーム

・外資系企業

・メーカーや商社など一般企業

・リサーチ会社やシンクタンク

・コンサルティングファーム

・外資系企業

会計士は企業の会計情報を整えて提供するのが役割です。会計情報は外部の投資家や経営陣の意思決定に役立てられます。

データサイエンティストも経営陣の意思決定のために仕事をする点は会計士と共通しています。意思決定をサポートする方法としてデータサイエンティストはデータ分析を行う点が会計士との違いです。

会計士もデータサイエンティストも数字に強い人論理的思考ができる人が向いている点は共通しています。ただし、会計士は企業経営に興味があることが重要です。

会計士の仕事では論理的思考力やITスキル、コミュニケーションスキルが求められます。データサイエンティストの場合は、会計士と必要なスキルは似ているのですが、数学や統計学の専門知識が必要な点が異なっているのです。

会計士の就職先は一般企業や監査法人、会計事務所、コンサルティングファームです。データサイエンティストは一般企業やコンサルティングファームに加えてリサーチ会社やシンクタンク、外資系企業で働くケースもあります。ただし、会計士でも英語ができて海外の会計基準に精通している場合は外資系で働くことも可能です。

データサイエンティストの重要性・将来性

データサイエンティストの重要性と将来性について解説します。

データサイエンティストの重要性

データサイエンティストの価値は現在高まっています。多くの企業で必要とされる人材です。なぜデータサイエンティストの需要が高まっているかといえば、以下の理由があります。

  • ビッグデータの収集と分析が容易になった
  • 多くの企業がデータを活用して意思決定を始めたため
  • データサイエンスの知見やスキルのある人材が不足している

技術の発展によりビッグデータの収集と分析が容易になりました。しかし、ビッグデータを扱うためには専門的な知識が必要です。そこで、ビッグデータの収集や分析を行うデータサイエンティストが注目されています。

また、多くの企業で意思決定の判断材料としてデータが活用される時代になりました。データを活用すれば、意思決定の質を高められます。ライバルに先を越されないためにもデータ活用が多くの企業の課題になっており、データサイエンティストが求められているのです。

データサイエンティストが必要とされていても、実際にデータサイエンスの知見やスキルを持つ人材は不足しています。データサイエンティストを育成するノウハウのない企業も多いです。そこで、データサイエンスのスキルや知識を持つ人材を採用する動きが活発になっています。

データサイエンティストの将来性

今後はますますビッグデータの活用が広まる可能性が高いです。それに伴いデータサイエンティストの需要もさらに高まると予想できます。データサイエンティストは多くの企業で必要不可欠な存在になるでしょう。

また、今後はデータサイエンティスト以外の職種にもデータサイエンスの知識やスキルが求められるとされています。データの扱い方の方法論がデータサイエンスであり、あらゆる分野で役立つからです。データサイエンティストと協調して仕事をするためにも、データサイエンスの知識は必須スキルになるでしょう。

たとえば、会計士になりたい人がデータサイエンスを学ぶことは大切です。会計士は財務諸表や取引情報、顧客情報といった会計に関する多くのデータを扱います。そこで、会計データとビジネスデータを関連付けて分析できるスキルがあれば、ビジネスの課題解決の効果的な提案ができるのです。

会計士がデータサイエンスの知識やスキルを身につけることで、会計情報とマーケティングデータなど幅広いデータを扱えるエキスパートになります。会計士としてのポテンシャルを高めることができるのです。

まとめ

データサイエンティストは将来性が高く今後の活躍が期待できる職業です。また、会計士であっても、データサイエンスを学ぶことで可能性を広げることができます。いずれにしても、データサイエンスを学ぶことには大きなメリットがあるのです。