データサイエンス概論

機械学習のツールでどんな事ができる?機械学習を実体験したい!

最近は、多くの企業や研究分野で人工知能が活用されています。

そのため、人工知能やそれを支える機械学習を勉強する人も増えていますが、高度な専門知識を身につける必要があるため、途中で挫折してしまうということにもなりかねません。

そこでオススメなのが、機械学習の「ツール」を導入することです。

ツールを導入する事で、専門的な知識をまだ身につけていなくても機械学習によるデータ分析や人工知能を活用することができる様になります。

この記事では、機械学習を勉強している人にオススメできるツールについて述べていきます。

1.機械学習とはどのようなことなのか

機械学習とはAIを支える技術の1つであり、コンピュータが問題とその答えを使って学習し、データに潜むパターンを見つける技術です。難しく聞こえるかもしれませんが、できることや活用されている場面を身近な例として紹介します。

・機械学習でできること① 回帰分析

「回帰」とは、連続する相関関係にある数値を予測するものです。

たとえばエレベータの運行制御について考えてみましょう。

複数のエレベーター並列で稼働している施設では、朝夕の混雑する通勤時間帯、曜日など日々の運行データを基に学習することで、利用者を待たせずにエレベーターを運行する制御を学んでゆきます。その結果、輸送の効率向上が期待できます。

・機械学習でできること② 分類

「分類」は、与えられた正解データに基づいて「正しいデータ」と「正しくないデータ」に振り分けて出力するものです。

メールソフトは、受信したメールが「迷惑メールやスパムメールであるか否か」を判断することができます。あらかじめ迷惑メール、スパムメールで使われそうなキーワードを学習して、受信したメールがパターンに該当するかを判定して分類しているのです

そして機械学習の優れているところは、判断基準を機械自らが生成していくことにあります。人間が判断基準を決めるのでは、新たな手法、パターンの迷惑メールが出てくるたびに手動で判断ロジックを追加していく必要がありますが、機械学習では学習モデルを構築することで、人間が労力をかける事が不要となります。

・機械学習でできること③ レコメンデーション

ネットショッピングで商品を購入する際、「この商品を購入した人はこちらも見ています」と別の商品を提示された経験はあるのではないでしょうか。ネットショップに蓄積されている販売実績データや顧客情報を、年代や性別、職業などでグループ分けし、同じグループ内で同じ商品が複数回購入された場合、同じグループに所属している人に対しても商品をレコメンドする、という様に機械学習の結果を活用しているのです。

2.機械学習用のツールとは、ツールを使用するメリット

機械学習を実現するためには、プログラミングスキルやデータベースの知識、線形代数や統計学のような数学的知識などの幅広く専門的な知識が必要となります。

IT系の学習で挫折してしまうのは

 ・全体概要を、専門用語から理解しようとしてしまう

 ・何ができるのかというイメージが漠然としか浮かばない

このような理由が大半です。

ここで、「機械学習で何ができるのか」を実際に目に見える形で実体験させてくれるのが、機械学習用のツールの存在です。

・機械学習ツールの活用

1から機械学習のプログラムを作り上げ、データを入力して学習させていく、ということができるようになるには、長い時間と専門的な勉強を積み上げた上でようやく到達できる地点です。機械学習のツールを使うことで、操作方法を学習する必要はありますが、入力とするデータがあればデータ解析を実際に行うことができ、機械学習の手法を実体験することができます。

「結果が目に見えること」これにより機械学習のイメージが自分の中に出来上がり、

機械学習を学んだ後にやりたいことも、より鮮明に考えることができるようになります。

これからの学習方針を立てることもできるでしょう。

3.機械学習に活用できる、初心者でも扱えるツールを教えてほしい

機械学習のツールとしてオススメなのは、Microsoft社の「Azure Machine Learning」です。以下「Azure ML」と記述します。

※Microsoft社からは「Azure Machine Learningスタジオ(クラシック)」も提供されていますが、こちらは2024年8月31日にサポート停止が予定されており、注意が必要です。

・Azure MLの特徴①

Azure MLスタジオでは、どんなことができるのでしょうか。

Microsoft公式サイトより

Azure MLは、機械学習のプログラミング言語であるpythonの知識が十分でなくても、ユニットと呼ばれる処理や判定のブロックをマウスのドラッグでつなぐ簡単な操作で、プログラミングを行ったのと同じ様に機械学習モデルを構築することができるクラウドベースのサービスになります。このようなツールをGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)と呼び、視覚的に理解できることがメリットとなります。

たくさんのサンプルも用意されていますので、機械学習の学習中であっても分類や数値予測のモデルの作成が簡単に行えることが特徴です。

・Azure MLの特徴②

もうひとつのAzure MLの特徴として「クラウドのサービス」であるという点が挙げられます。インターネット上にあるAzure MLにアクセスして使う形になりますので、高性能なパソコンを自前で用意したり、お手元のパソコンにソフトウェアをインストールしたりする必要はありません。その点でも、Azure MLは手軽に使えるようになっています。

・Azure MLの特徴③

Azure MLには無料のアカウントも用意されています。無料といっても、特徴①ご説明した機能は使用することができますので、「機械学習」を十分に実体験することができます。

アカウント登録が必要となりますが、実際にAzure MLによってデータが処理される様子を目の当たりにすることで、機械学習に対するイメージが明確になり、さらなる学習意欲を掻き立てられることでしょう。

・Azure MLでビジネス課題の解決を考えてみよう

Azure MLの機能を使って、「複数の店舗を展開しているチェーン店に対する広告の戦略」を考えてみましょう。

①各店舗の売上高を比較する。

まずは、「来店する顧客の年齢層と時間帯」、「よく売れる商品と季節」「日々の天気と気温」など、売上高(結果)に対して影響を与えていそうな項目(原因)を洗い出します。

「データクレンジング」の機能を持つAzure MLのモジュールを活用します。

②その項目の相関関係データを基にして機械学習を行い、それぞれの項目がどのように売上高に影響があるのか、同じ客層がよく購入するであろうレコメンデーションできる商品など、を明らかにします。

「回帰分析」「レコメンデーション」の機能を持つAzure MLのモジュールで分析を行います。

③売上に直結する顧客層とターゲットにする商品に対して、売り上げ予測が最大となる広告の打ち方を割り出します。

「算術演算」の機能を持つAzure MLのモジュールによって計算します。

広告戦略というビジネスの課題に対しても、Azure MLのモジュールを組み合わせることで効果的な解決策を見出すことができるでしょう。

まとめ

1からプログラミングして作るのは大変な機能でも、ツールの機能を組み合わせることで

実現することができるようになります。

機械学習を勉強しながら、ツールを使ってワクワクするようなプログラムやインターネットサービスの構築にチャレンジしてみてください。