データサイエンス概論

データ分析で差をつけよう!データサイエンス上達のすすめ

データサイエンスやデータ分析がどういったものかご存じでしょうか。「なんとなくわかるけど、説明はできない」という方も多いでしょう。

今回は、データサイエンスやデータ分析について、その定義や重要性を解説します。データサイエンスに関するおすすめの書籍も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

データサイエンス・データ分析とは

まずは、データサイエンスとデータ分析の概要について解説します

データサイエンスとは

データサイエンスとは、統計学や情報工学などを組み合わせ、膨大なデータから問題解決のヒントとなる知見を導く学問です。

以前は統計学のひとつとして扱われていましたが、近年では、コンピューターの発展により大量のデータが扱えるようになったことから、独立した研究分野として位置づけられています。

データサイエンスを職業とするデータサイエンティストも増えてきました。データサイエンティストは統計学やプログラミングなどのスキルを駆使し、データの収集・解析や仮説の想定・検証などをおこないます。検証の結果、得られた知見をビジネスに活かしたり、社会問題を解決する糸口にしたりと、データサイエンティストがもたらす効果が期待されています。

データ分析とは

データ分析はさまざまな方法でデータを収集することからはじまります。集めたデータを分析して、ビジネスにおける課題や社会問題の解決に役立てます。

データサイエンスとデータ分析は同じように感じられるかもしれません。データを分析したり、可視化したりする点は同じです。しかし、両者は異なる分野です。

データサイエンスとデータ分析の大きな違いは、対象とする「範囲」にあります。

データサイエンスはデータの取得から蓄積、モデルの構築・検証など、幅広い領域をカバーしています。一方、データ分析では目標設定から分析手法の選定、データの加工などをおこないますが、データサイエンスほど範囲は広くありません。

また、必要となるスキルにも違いがあります。

データサイエンスでは機械学習のような高度な知識を用いますが、データ分析では統計学をもとに分析します。

現代社会におけるデータ分析の重要性

現代社会において、データ分析は重要な役割を果たします。ビジネスパーソンであれば、データサイエンティストやデータアナリストでなくても、学んでおいて損はありません。データ分析のメリットを紹介します。

メリット①精度の高い予測ができる

データを分析することで現状を把握したり、将来を予測したりできます。特に、ビジネスにおいては市場の動向や売上の推移を予測することが大切です。

以前は未来の情報を正確に予測することは困難でした。しかし、データ分析を用いれば、精度の高い現状把握と将来の予測が可能です。データの関連性や因果関係が判明すれば、根拠のある未来予想ができるからです。データ分析を活用し市場の今後を見通すことで、効率よく戦略を練りましょう。

メリット②課題や可能性を発見できる

気づかぬうちにビジネスの障壁となりうる課題を見落としていたり、絶好のチャンスを見過ごしていたりすると業務は効率よく進められません。しかし、データ分析を活用すれば、あらかじめリスクとなりうる事象を把握できたり、ビジネスの可能性を発見できたりします。

今までは経験や勘に頼っていたことも、データをもとに判断できるようになりました。組織内にばらばらに存在するデータを整理し分析することで、新たな発見が生まれます。相関関係と因果関係を見極め、課題や可能性を見過ごすことなく、プロジェクトを進行させましょう。

メリット③スピーディーな意思決定ができる

データ分析を効果的にビジネスに取り入れれば、意思決定のスピードを早めることも可能です。なぜなら、データをもとに客観的な判断ができるからです。

データ分析がおこなわれていない環境では、経験則で戦略を決めてしまうため、主観的な判断になってしまうリスクがあります。すり合わせも余計に必要になり、コミュニケーションコストがかかります。

しかし、長年蓄えてきた売上データや市場の動向などのデータをもとにした信頼度の高い情報は、意思決定をスピーディーにしてくれます。データをもとに判断するというデータ分析の考え方は、ビジネスパーソンであれば誰もがもっておいて損はないでしょう。

データサイエンスのプロセスとデータ分析の手法

実際にはどのような流れ・方法でデータサイエンスやデータ分析はおこなわれるのでしょうか。データサイエンスのプロセスやデータ分析の手法について解説します。

データ分析の手法

データ分析には、以下のように多くの分析手法があります。

  • ABC分析
  • 主成分分析
  • 回帰分析
  • バスケット分析
  • クロス集計分析
  • アソシエーション分析
  • クラスター分析 

さまざまな手法のあるデータ分析ですが、ここではメジャーな「バスケット分析」の概要を説明します。

バスケット分析は商品分析の手法のひとつです。同時に購入されやすい商品の組み合わせや商品の売上実績を分析するときに用います。

例えば、バスケット分析による組み合わせとして「おむつ」と「ビール」は一緒に購入されやすいという話は有名です。一見、関連性のないおむつビールですが「おむつのお遣いを頼まれた父親がついでにビールも購入する」という消費者の行動につながります。このように、商品同士の隠れた関係を見出すのがバスケット分析です。

データサイエンスのプロセス

データサイエンスのプロセスには、すぐれた知見を見出すためのいくつかの構成要素があります。ここでは機械学習を用いたデータサイエンスのプロセスについて解説します。

  1. 目的の設定
  2. データの収集
  3. データの可視化
  4. モデリング
  5. 実装
  6. 評価
  7. 業務への適用

機械学習によるデータサイエンスは、上記の流れでおこなわれます。

「モデリング」について補足をします。モデリングとは収集したデータをコンピューターが理解できる形式で入力し、機械学習のプログラムを実行し出力するプロセスのことです。

データサイエンスの可能性

デジタル社会の到来により、さまざまな分野のデータを集められるようになりました。

データに裏打ちされた新たな発見や気づきを与えてくれるデータサイエンス。そして、データサイエンスを職業とするのがデータサイエンティストと呼ばれる人たちです。

アメリカでは今後最も稼げる職業とも言われているデータサイエンティスト。なぜ期待度が高いのかというと、データサイエンスのスキルや知識は幅が広く、希少性が高いからです。

無数のデータから分析結果をビジネスに役立て、課題の解決を可能にするのがデータサイエンスのメリットです。企業はデータサイエンティストが創出する情報の価値を高く評価しています。

データサイエンスを身につけるために必要なスキル

では、データサイエンスにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。大量のデータを収集・解析するのに不可欠なスキルを紹介します。

ビジネススキル

データサイエンスをおこなうには、ビジネス的な視点も欠かせません。具体的には以下のようなスキルです。

  • 分析対象のビジネスへの理解
  • 論理的な思考力
  • プレゼンテーションスキル

まずは、分析し課題を解決しようとしている組織の現状を理解する必要があります。分析対象がどのようなビジネスモデルでどういったプロジェクトを進めているか、理解していなければデータサイエンスをうまく活用できないからです。

また、論理的な思考力も重要です。ロジカルに問題を分解し整理することで、解決すべき課題を洗い出せます。

プレゼンテーションの能力も欠かせません。データサイエンスでデータを解析し、課題の解決につながる知見を発見できたとしても、解析結果が実行されるように、説明・提案する必要がありますよね。

データサイエンスを効果的におこないたい場合は、ビジネススキルが肝心であることを覚えておきましょう。

ITスキル

データサイエンスには、ITスキルも求められます。データサイエンスをおこなうには、分析環境やデータベースを設計したり構築したりする必要があるからです。

また、分析にはプログラミング言語も用います。機械学習を実行できる「R」や「Python」といった言語を学習しましょう。

統計スキル

データサイエンスを学ぶなら、統計スキルの獲得は避けて通れません。確率や微分積分のような数学の知識だけでなく、データ分析ツールのスキルが必要です。

分析ツールはさまざまありますが、代表的なものにIBM社の「SPSS」があります。場合によってはExcelを用いることも。データサイエンスをおこなうには、幅広い知識が必要だと認識しておきましょう。

データサイエンスに必要なスキルを身につける!おすすめ書籍5選

データサイエンスを学ぶ方法はスクールや学習サイト、動画教材などいろいろありますが、ここでは、独学でも気軽に学べるおすすめの書籍を紹介します。

①『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』

分析者のためのデータ解釈学入門一冊目は『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』です。各種の分析手法を網羅しているだけでなく、下記のような幅広い知識を学べます。

  • データのばらつきやバイアスに関する知識
  • データにかたよりを生む行動心理学
  • サンプリングの方法
  • 各種分析の考え方
  • 認知バイアスや数理モデリングのポイント 

データを分析するなら知っておく必要のある情報が整理された一冊です。

②『入門 統計解析法』

入門 統計解析法『入門 統計解析法』は1992年に出版された名著で、今でも評価の高い書籍です。高校の数学がわかれば理解できる内容で、統計学の基本的な考え方や分析手法について一通り学べます。統計学を体系的に学びたい場合は、一度手にとってはいかがでしょうか。

③『会社を変える分析の力』

会社を変える分析の力『会社を変える分析の力』文系の方でも読みやすい書籍です。データサイエンスが重要だと言われるビジネスの世界で、分析を武器にできている会社とそうでない組織とでは、何が違うのかわかりやすく解説されています。データ分析の第一人者が著書で、おすすめの一冊です。

④『AI・データ分析プロジェクトのすべて ビジネス力×技術力=価値創出』

AI・データ分析プロジェクトのすべてデータ分析の書籍では定番の『AI・データ分析プロジェクトのすべて ビジネス力×技術力=価値創出』もおすすめです。データ分析を実際のビジネスに活かす際の流れや注意点などにも触れられており、先人たちのノウハウが詰め込まれた本書。データサイエンスを現実のプロジェクトに活用するイメージができますよ。

⑤『Python 実践データ分析 100 本ノック』

Pythonデータ分析100本ノック『Python 実践データ分析 100 本ノック』は機械学習に用いるプログラミング言語Pythonに関する良書です。100題の問題が基礎編・実践編・応用編に分けられており、データ加工について実践的な内容を学べます。Pythonに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

データサイエンスやデータ分析を勉強して周りに差をつけよう!

データをもとに現状を把握したり、将来を予測したりするのに、データサイエンスやデータ分析は有効です。課題やビジネスチャンスの発見にもつながるので、今後もデータの収集・解析の需要は増えると考えられます。

あなたもデータサイエンスやデータ分析を学び、ビジネスに活かしてみてはいかがでしょうか。