データサイエンス概論

データサイエンティストと機械学習エンジニアの違いは?解説します!

「人工知能(AI)に人間の仕事を奪われる」という話題は最近耳にすることが多いですが、その人工知能を支えるITエンジニアとして「データサイエンティスト」「機械学習エンジニア」は比較される事が多い職種です。

本記事を読むことで、それぞれの職種における仕事内容や必要となるスキルと、スキルを身につける学習方法を理解することができます。

1「データサイエンティスト」と「機械学習エンジニア」の仕事内容

①データサイエンティストの仕事

データサイエンティストとは、ビッグデータと呼ばれる大量に蓄積された複雑なデータを分析し、企業が抱える課題に対しての解決方法に結びつく有益な情報を引き出すエンジニアであり、ITエンジニアの中では比較的新しい職種です。

現代社会において、企業活動や私達の生活のなかで蓄積された「データ」は、企業経営や売上向上のための情報を含んだ重要な資産であり、競合他社との差別化を図る上での武器ともなります。GAFAMに代表されるグローバル企業はもちろん、世界中の企業は膨大な「データ」を保持しています。

しかし、その中には「ノイズ」と呼ばれる無駄な部分も合わせて含まれており、そのままの状態では活用することができません。そこで、「データサイエンティスト」がデータを使える形に加工し、集約・分析をすることで人間の目では発見できなかった、課題解決に有益となりうるさまざまな法則や傾向を発見します。

そしてその法則や傾向を、ビジネス上の課題解決のアクションに落とし込んで企業に貢献していくのです。経営層に向けてアドバイスをすることも多いため、データに関するスキルはもちろん、経営や戦略に関するビジネス知識も必要になってくる職業です。

②機械学習エンジニアの仕事

「機械学習エンジニア」も、ITエンジニアの中では比較的新しい職種のひとつです。人工知能(AI)を支える技術要素である「機械学習」を専門スキルとします。

機械学習とは、ビッグデータと呼ばれる大量に蓄積された複雑なデータを元に、適切な形式に加工し、人工知能(AI)に学習させる技術です。人工知能(AI)が処理出力を行った結果を分析し、改めてデータ加工・機械に学習させるという一連のサイクルを繰り返すことで、人工知能(AI)の判定精度を向上させていきます。

これを担当するのが「機械学習エンジニア」と呼ばれるITエンジニアであり、人工知能(AI)の技術が向上し、ビジネスへの活用が普及しだしている現代社会において、需要も高まりを見せている職種のひとつです。

2「データサイエンティスト」や「機械学習エンジニア」になるには

①データサイエンティストになるには

データサイエンティストには複数の専門知識、スキルが求められるため、全くの未経験からの就職は難しいです。必要なスキルは後述しますが、これらの知識について書籍やオンライン学習、スクールなどで習得することが必要となります。

データサイエンティストを将来のキャリア目標として、知識と実務経験を積み重ねるためには「Web開発エンジニア」「データマイニングエンジニア」「データベースエンジニア」のITエンジニアに転職することをおすすめします。

「Web開発エンジニア」であれば、顧客のビジネス上の課題を解決するシステム開発が主な仕事となりますので、ニーズ分析や課題に対するソリューション提案、そして要件仕様通りのシステムを開発する、といった経験を積むことができます。その中で、データ分析によく使われているプログラミング言語「Python」の実務経験が積めればデータサイエンティストへの転職市場での価値を高めることができるでしょう。

「データマイニングエンジニア」や「データベースエンジニア」であれば、日常的に大量のデータを取り扱う仕事となるため、データサイエンティストと距離の近い職種であると言えます。データベース構築のスキルやデータ抽出、データ加工の経験は、データサイエンティストに転職する際の強力な武器となります。

②機械学習エンジニアになるには

機械学習エンジニアにも、複数の専門的スキルと知識が求められます。特に、機械(コンピュータ)にデータを処理させる際のアルゴリズム、つまり解を導き出すまでの筋道や計算手順、を組み立てる能力と、そのアルゴリズムにそってプログラミングする能力は必須となります。「Python」というプログラミング言語を使うことが多く、機械学習用の機能を詰め合わせたライブラリを活用することも同時に必要とするスキルです。

また、データの統計分析スキルも必要であり、プログラミングスキルと合わせて仕事の場で1から教えてもらうのは現実的に難しいです。「機械学習エンジニア」への転職をいきなり狙うのではなく、スクールで知識スキルを習得してから、または「データマイニングエンジニア」「データベースエンジニア」のITエンジニアに転職することをおすすめします。

データ処理に関わる実務経験は「機械学習エンジニア」へ転職した後にも充分に活かすことができます。

3「データサイエンティスト」と「機械学習エンジニア」に必要なスキル

「データサイエンティスト」と「機械学習エンジニア」両職種とも、幅広い専門知識が必要となることを説明してきました。ここからは具体的なスキルセットを説明します。

①データサイエンティストに必要となるスキル

統計学や数学に関するスキル

データを扱いやすい形に加工し、分析するには数学の知識、特に統計学と微分、線形代数の知識が不可欠です。

データベースの知識

機械学習に関しては「機械学習エンジニア」の章でご説明しますが、データの収集、加工を行う際にはデータベースからデータを取得するSQLをはじめ、専門的なスキルが必要です。

プログラミングスキル

データベースから取得したデータを加工分析する際に、モデルをプログラミングしながらデータの中から有益な情報を引き出していくことになります。

コミュニケーションスキル

企業が抱える課題に対するソリューションをデータから引き出し、アクション化して企業経営層にプレゼンテーションを行います。

②機械学習エンジニアに必要となるスキル

プログラミングスキル 

「Python」は機械学習によく用いられるプログラム言語ですが、難易度は実はそこまで高くないため学びやすいです。

機械学習ライブラリ「scikit-learn」

機械学習で必要な全般的なアルゴリズムがパッケージされているライブラリで、機械学習エンジニアの人気も高いです。こちら1つでおおよその機械学習を試すことができます。

開発環境を構築するスキル「Anaconda python」

プログラミング言語「Python」も、ライブラリ「scikit-learn」も、それを実行する環境を用意する必要がありますが、「Anaconda python」であれば言語とライブラリがセットになっているため、一度に環境を構築することができます。

データベース構築の知識

機械学習によって収集したデータを、他のエンジニアが活用できるようにデータベースに整理して格納しておき、必要に応じてSQLによって取り出せるよう整備しておく必要があります。

クラウド知識

機械学習で取り扱うデータは膨大な量になり、また開発したプログラム、アルゴリズムをクラウドで共有する場面も多いです。 AWS、Azureなど主要となるクラウドの構築と運用スキルは習得しておきましょう。

4「データサイエンティスト」と「機械学習エンジニア」スキル習得の方法

これまで、データサイエンティストと機械学習エンジニアに必要なスキルを説明してきました。ではどうやってこれらを身につければよいのでしょうか。この章では、スキルを学べる講座を紹介します。

①データサイエンティストのスキル学習方法

データサイエンティストを目指すあなたへ〜データサイエンス25時間ブートキャンプ〜 

データサイエンティストを目指すあなたへ~データサイエンス25時間ブートキャンプ~引用元:Udemy

機械学習や人工知能に関するビジネス上の課題を、回帰分析などの分析手法を用いて解いていきます。「Python」ライブラリのスキルも習得できます。

②機械学習エンジニアのスキル学習方法

【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座-初級編

人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座引用元:Udemy

微分、線形代数といった数学の基礎から、「Python」での実装まで学習できます。

おわりに

機械学習や人工知能の技術発展はめざましく、企業活動においてこれらの技術に置き換わっていく領域はますます大きくなっていくと予想されます。

「データサイエンティスト」「機械学習エンジニア」として機械学習、人工知能を作る側の立場に立つことができれば、今後の活躍の場は広がっていくでしょう。

是非、本記事を参考にスキルを習得し、データに関するエキスパートとしてのご活躍をされることを期待しています。