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【G検定意味ない?】データサイエンティストが取得メリットと勉強方法を解説

昨今、画像・文章生成AIが話題となっており、ディープラーニングに興味を持ち、これから勉強しようと考えている人も多いと思います。本記事では、ディープラーニングの勉強におすすめの資格として、G検定を紹介します。

G検定はそれほど知名度の高い資格ではないため、受ける意味があるのか気になる人も多いのではないでしょうか。そこで、G検定を受けるメリットや勉強方法について解説します。

G検定とは?

引用:JDLA公式サイト

G検定(General検定)は日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催している、AIに関する広範な知識が問われる資格試験です。

機械学習を実用化するにはAIで何ができるのかを知ることはもちろん必要ですが、利用する上での法律・倫理の留意点も把握する必要があります。

そのため、G検定ではAIを実装するプログラムに関する専門知識ではなく、AIを利用する上で必要なリテラシーとなる一般知識が問われます。受検者は研究・開発者だけでなく、営業・人事、経営の担当者と幅広い職種の人が受験しています。

G検定の受験メリット

G検定の受験メリットは以下の3つが挙げられます。それぞれについて解説していきます。

  • 今後ますますG検定の重要度が高まる
  • 最新のAI技術を身に付けて証明できる
  • AI人材コミュニティへの参加が可能

今後ますますG検定の重要度が高まる

G検定は2017年から始まった資格であり、国家資格である「ITパスポート試験」と比べると、あまり知名度は高くありませんが、デジタルリテラシー協議会がデジタル人材であるための教養として、ITパスポート試験に並ぶ資格としてG検定を推奨しています。

また、2023年度の経済産業省主催のデジタル推進人材育成プログラム「マナビDX Quest」の参加選考にはスキルテストだけでなく、応募フォームにG検定を取得しているかのチェック項目がありました。今後、AI領域におけるDX人材の教養資格の証明1つにG検定が役立つようになるかもしれません。

昨今、DXに取り組む企業が増えてきていますが、AI領域においては具体的にどうするか試行錯誤の企業も多い状態です。G検定を取得すれば、AI領域におけるDX人材として会社から評価され、担当者となれる可能性もあります

最新のAI知識を身に付けて証明できる

G検定の試験範囲は、JDLAのホームページにシラバスとして公開されており、内容はAIに必要な知識が体系的にまとめてあり、ディープラーニングに興味のある初学者にとっても最新のAI知識を身に付けるのに役立つ資格と言えます。

AIの知識は日進月歩のため、随時知識をアップデートする必要があります。その背景からG検定のシラバスも定期的に更新されるため、最新のAI技術を常にアップデートして学ぶモチベーションとしてもG検定はおすすめです。合格者には何年度の合格者か記載された証明書とオープンバッジが配布されるため、何年度の証明書かによって、当時のシラバスに沿った最新のAI知識を身に付けているかを証明できるのです。

AI人材コミュニティへの参加が可能

G検定の合格者は日本最大級のAI人材コミュニティ「CDLE」への参加が可能となります。コミュニティ参加者はSlackを通してJDLAのイベントの告知を受け、参加者同士で情報交換でき、エンジニアの募集や無料のディープラーニング講義の案内などの役立つ情報を日頃からキャッチアップしやすくなります。

G検定の勉強方法と試験対策

G検定の勉強方法

引用:Amazon

G検定の試験では以下のように幅広いAI知識が問われます。

  • AIの歴史
  • 機械学習の手法
  • ディープラーニングの手法や社会実装に向けた内容
  • AIに関する法律、倫理・社会問題

勉強するための教科書として、JDLA監修の深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト 第2版があります。G検定受験までに要する学習時間は、受験者のバックグラウンドにもよりますが、15~50時間程度と言われています。

幅広い知識が問われますが、最も問題数が多いのはディープラーニングに関する知識です。そのため、ディープラーニングに関する知識がほとんどない初学者の場合は、まずディープラーニングの学習を重点的に行うことをおすすめします。

一方、すでにある程度ディープラーニングの実装経験やモデルに関する知識を有している人であれば、公式テキストを全体的に勉強し、苦手な分野をおさえておくとよいでしょう。

G検定の試験対策

AI知識を広く身につけたいだけであれば、公式テキストでの勉強だけでも十分ですが、G検定合格を目指すのであれば、G検定の試験方式にも慣れておくことをおすすめします!なぜなら、G検定は自宅でのオンライン受験方式であり、試験時間は2時間で選択式の問題を200問程度解く必要があるからです。つまり、1問に30秒強しかかけられないため、わからない問題ごとに調べて時間を割くことはできません。

AI教育事業者の各社から模擬試験付きの参考書が多くあり、オンライン上で模擬試験を無料で受けることができるので、試験前に練習として利用するとよいでしょう。以下におすすめの学習サイトと模擬試験付き参考書を紹介します。

Study-AI

引用:Study-AI

Study-AI株式会社はG検定の模擬テストをこちらで無料公開しており、オンラインで受検練習を可能にしてくれています。実際の試験のように時間を計りながらパソコンで試験練習ができるのでおすすめです。

ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集 第2版

引用:Amazon

株式会社AVILENが出版している「ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集 第2」はシラバスに沿った豊富な問題と詳細な解説付きであり、問題練習と内容理解の両方に役立ちます。

また、インターネットで検索すると過去の参加者の過去問が公開されていたりするので、問題のレベルを確認しておくこともできます。テストはテキストの持ち込みが可能なため、模擬試験や過去問で間違えやすい分野を把握し、テキストのどこを確認すればよいか準備しておくと、テスト中にすぐ確認できます。

法律・倫理問題の対策

引用:Amazon

G検定はディープラーニングのモデルの知識だけでなく、モデル学習に用いるデータの利用・加工に関する法律・倫理についても問われます

近年、生成AIの利用問題が注目されており、重要なテーマでもあります。利用規制は日本だけでなく海外の法律や倫理も関わることがあります。

しかし、法律にあまりなじみのない受検者にとって参考書も少なく勉強しにくい内容でもあります。上記のJDLAの公式テキストではAI全般の内容をコンパクトにまとめている反面、法律・倫理の内容を具体的にイメージしにくいことがありました。

このような背景からJDLA監修書籍として新たに、ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)法律・倫理テキスト20235月に出版されています。馴染みのない法律に関する内容を平易に解説しており、機械学習における著作権や個人情報などの法律問題や倫理問題を詳しく学べます。

また、JDLAは生成AIの利用ガイドラインを公開しており、ガイドラインで参照している生成AI利用ガイドライン作成のための手引きでは、生成AIのサービス形態に分けて、利用時の著作権・個人情報などの法律に関する問題を詳しく解説しています。法律・倫理テキストと合わせて読むことでより理解が深まります。

JDLAG検定以外のディープラーニング資格

JDLAG検定の他にもディープラーニング資格試験として「Generative AI Test」「E資格」を実施しています。

Generative AI Test

Generative AI Test生成AIに関する問題に特化した試験です。G検定と内容が重なる部分もありますが、生成AIの法律・倫理面だけでなく、技術や活用方法も身につける必要があります。近年、注目されているChatGPTのベースとなる大規模言語モデル(LLM)の技術や活用に関する知識が問われ、より最近の動向に合わせた実践向けの資格と言えます。

LLMの勉強には、JDLAの代表理事を務める松尾豊教授の研究室が20239月に開催した大規模言語モデル講座のコンテンツを無償公開しており、LLMのモデルやファインチューニング、活用テクニックなどの理解に役立ちます。

E資格

引用:JDLA公式サイト

E資格(Engenear検定)はG検定と異なりエンジニア向けのプログラミング実装に関する知識も問われます。E資格はJDLAが認定したAI教育事業者によるプログラムを修了したのち、受験できる資格試験です。

認定プログラムではE資格のシラバスのキーワードに沿ってディープラーニングの理論やPythonのコーディングについて学びます。資格試験では応用数学・機械学習・深層学習・開発環境について問われます。

E資格は2024年の第二回試験からシラバス改定が告知されています。近年注目されているChatGPTのベースとなる基盤モデルや画像生成AIのベースとなる拡散モデルについても問われるようになっています。受験を考えている人は新しいシラバスのチェックが必要です。