自然言語処理

ChatGPTにも使われる自然言語処理とは?仕組み、具体例を紹介!

ChatGPTやSiriがどのように人間の言葉を処理しているのかご存知でしょうか。

この2つのAIにはどちらも自然言語処理技術が用いられています。

本記事では、これからAIの勉強を始める人に向けて、自然言語処理の概要、仕組み、利用例を具体的に説明します。


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自然言語処理とは?

自然言語処理(NLP: Natural Language Processing)は、人間が日常的に使用する言語、すなわち「自然言語」をコンピュータに理解させ、解析や生成を行うための技術です。

具体的には、テキストや音声データの形で存在する自然言語情報を、コンピュータが処理できる形式に変換し、その情報から意味や構造を抽出する技術を指します。

自然言語処理の応用範囲は広く、検索エンジンの検索結果の最適化、チャットボットやAIアシスタントの対話システム、文章の自動要約や翻訳、感情分析など、多岐にわたります。

近年では、深層学習の発展により、より高度な自然言語の分析や生成が可能になりました。

自然言語処理の歴史

自然言語処理はどのように発展してきたのでしょうか。

以下では、自然言語処理に関係の深い研究を取り上げながら、これまでの歴史を振り返ります。

自然言語処理の研究はまず、機械翻訳から始まりました。1950年代、冷戦の最中、コンピュータにロシア語を英語に翻訳させる研究がアメリカで開始されました。

初期の機械翻訳はルールベースであり、限定的な成功に留まりました。しかし、後の統計的手法やニューラルネットワークの導入につながる一歩となりました。

その後、1964年から1966年にかけて、ジョセフ・ワイゼンバウムによってELIZAが開発されました。ELIZAは、あらかじめ準備されたパターンに応じて、対話を行うチャットボットですELIZAは、すでに覚えさせたパターンに応じて返答することしかできません。

しかし、それだけの機能にもかかわらず、人間と対話しているかのような返答ができました。このELIZAの成功はその後のチャットボットの開発に大きな影響を与えました。

2011年、IBMのWatsonは、アメリカのクイズ番組で人間のチャンピオンたちを打ち負かしました。Watsonの成功は、大量の情報を迅速に処理し、自然言語の質問に正確に答える能力の進化を示すものでした。

2011年から2016年にかけて、日本の研究チームは東大入試合格を目指す人工知能「東ロボ」を開発しました。「東ロボ」は、2016年には進研模試で偏差値57.8をとりました。この偏差値は、ほとんどの私立大学に合格するレベルです。

しかし、これ以上の発展は何らかのブレイクスルーがないと不可能だという結論に達し、2016年にプロジェクトが停止しました。

2017年、Googleの研究者たちがTransformerを発表しました。このアーキテクチャは、アテンションメカニズムを使用して文章中の各単語の関係を捉えます。

このTransformerは、自然言語処理の多くのタスクで革命的な性能向上をもたらしました。実際に、BERTやGPTなどの現代の自然言語処理モデルは、このTransformerが利用されています。

このように、自然言語処理は、当初はルールベースで実施されていました。

しかし、その後、深層学習の発展にともない、飛躍的に精度が向上しました。

これからも自然言語処理技術はさらに発展していくことでしょう。

自然言語処理の仕組み

自然言語処理は、人間の言語をコンピュータが理解し、解析、生成する技術のことを指します。この自然言語処理の仕組みは、テキストデータの構造と意味を段階的に解析するプロセスに基づいています。

自然言語処理では、以下のような解析が順にされています。

  1. 形態素解析
  2. 構文解析
  3. 意味解析
  4. 文脈解析

形態素解析

形態素解析は、テキストを最小の意味単位である「形態素」に分割し、それぞれの形態素に対応する品詞を当てはめるプロセスです。

私は走りながら咲いている花を探しました。

例えば、上の文章を形態素解析すると以下のようになります。

私/は/走り/ながら/咲い/て/いる/花/を/探し/まし/た/。

形態素ごとに分けた後は、それぞれの形態素に品詞を当てはめます。

私(代名詞)/は(助詞)/走り(動詞)/ながら(助詞)/咲い(動詞)/て(助詞)/いる(動詞)/花(名刺)/を(助詞)/探し(動詞)/まし(助動詞)/た(助動詞)/。(記号)

構文解析

形態素解析の次は、構文解析をします。

構文解析は、文章の文法的な構造を解析するプロセスです。

構文解析では、構文的にどの節が主語や述語、目的語になりそうかを分析します。

例えば、上の文章の場合、「咲いている」や「探しました」の部分が述語になりそうです。

このように、構文解析では、構文のみの情報から文章を分析します。しかし、これだけでは文章の意味を一意に定めることはできません。

上の文章の場合、コンピュータは以下の2つの解釈で揺れる可能性があります。

  1. 私は、「走りながら咲いている花」を探しました。
  2. 私は走りながら、「咲いている花」を探しました。

人間であれば、②の解釈の方が正しいことはすぐ理解できるでしょう。しかし、コンピュータが文章の意味を1つに確定するには、次に説明する意味解析が必要です。

意味解析

意味解析は、文章の意味的な内容を理解するプロセスです。ここでは、単語や句の具体的な意味や役割、文章中での関係性を特定します。

このプロセスを通して、構文解析だけではわからなかった、文章の解釈を1つに確定させます。

上の文章は以下の2つの解釈が考えられます。

  1. 私は、「走りながら咲いている花」を探しました。
  2. 私は走りながら、「咲いている花」を探しました。

意味解析をすると、①の「走りながら」と「咲いている」の関連性より、②の「走りながら」と「探しました」の方が、関連性が強いことがわかります。

このようにして、最終的に上の文章の解釈は②が適切であると選択できます。

文脈解析

最後に、文脈解析をします。

文脈解析は、文章の文脈や背景を考慮して情報を解釈するプロセスです。単一の文章だけでなく、前後の文章や全体の文書のコンテキストをもとに、文章同士の関係を解析します。

これらの解析プロセスを組み合わせることで、自然言語処理はテキストデータの深い理解を目指します。近年の技術進展により、これらのタスクを高精度に実行するモデルやアルゴリズムが多数開発されており、自然言語処理の応用範囲は日々拡大しています。

プログラミング言語の一つであるPythonを用いた自然言語処理について知ってみたい方は、下の記事をご覧ください。

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自然言語処理の利用例

自然言語処理は、人間の言語をコンピュータに理解させる技術として、多岐にわたる分野で利用されています。

以下は、自然言語処理が利用されている例を9つ紹介します。

固有表現抽出

自然言語処理を用いて、文章内から、特定の人名、地域名、組織名などの表現を抽出できます。

例えば、プライバシー保護の観点から文章中から特定の個人の情報を削除したい場合に、固有表現抽出が使われます。

AI-OCR(文字認識)

AI-OCR(文字認識)の精度も自然言語処理の技術の伴い、向上しています。

AI-OCRを利用することで、紙に書かれた手書き文字を取り込んで、電子化できるようになりました。

検索エンジン

自然言語処理は、ユーザーの検索意図を理解し、関連性の高い情報を提供するための基盤技術として利用されています。

例えば、Googleでは、検索エンジンに、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)が採用されていて、利用者がどのような意図で検索したのかを分析できます。

機械翻訳

機械翻訳にも自然言語処理が用いられています。

近年は、深層学習の進展により機械翻訳の技術が大きく発展しています。

ChatGPTやDeepLなどに文章を入力すると、瞬時に高精度の翻訳ができるようになりました。また、海外の人ともGoogle翻訳を使って、会話ができるようになりました。

チャットボットとAIアシスタント

ユーザの質問や要求を理解し、適切な応答やアクションを行うための対話システムに自然言語処理が活用されています。

現在では、AppleのSiriやAmazonのAlexaなどさまざまなAIアシスタントが開発されています。

感情分析

ユーザーレビューやSNSの投稿から、感情や意見を自動的に分析するための技術として自然言語処理が用いられます。

例えば、自社の商品をSNSで感情分析すると、商品が顧客からどのように評価されているのか、また、どこに不満を感じているかが分析できます。

文章の要約、情報抽出

長いテキストを短く、かつ要点を押さえた形で自動的に要約するための技術に自然言語処理が利用されています。また、自分が必要な情報だけを抽出することもできます。これにより、読むのに時間のかかる文章でも短時間で概要を理解できるようになりました。

例えば、ChatGPTに論文を入力すると、適切に要約してくれます。また、議事録を入力することで、指定した情報のみを適切に抽出できるようになりました。

推薦システム

ユーザーがどのような商品を購入したかを自然言語処理で解析することで、ユーザーの好みを学習できます。

例えば、Amazonで商品を購入すると、それ以降、購入した商品に似た商品が自動でレコメンドされるようになっています。これは、以前購入した商品の名前や紹介文を自然言語処理で解析した結果、次に購入する可能性の高い商品が予測されているのです。

文書分類

テキストデータを特定のカテゴリやトピックに自動的に分類するための技術として自然言語処理が用いられています。この文書分類技術により、煩雑な書類整理をAIが自動で処理できるようになりました。

これらの利用例を通じて、自然言語処理が私たちの日常生活やビジネスのさまざまな場面で、情報の理解やコミュニケーションの効率化に大きく貢献していることがわかります。

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    まとめ

    自然言語処理は、人間が使用する日常言語をコンピュータに理解させる技術です。

    自然言語処理は、1950年代の機械翻訳から研究が始まりました。当時はルールベースで作られていたため、成功は限定的でしたが、深層学習などの新たな技術が開発されたことにより、精度の高い自然言語処理が可能になってきました。

    自然言語処理では、テキストデータの形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析が順に実施することにより、文章の意味をコンピュータに解析させています。

    自然言語処理が利用されている分野は、検索エンジン、機械翻訳、チャットボット、感情分析、文章の自動要約、情報抽出、文書分類など、多岐にわたります。

    自然言語処理は情報技術の中心的な役割を果たしており、私たちの日常生活やビジネスの多くの側面で情報の理解やコミュニケーションの効率化に寄与しています。

    今後も自然言語処理の進化とその応用範囲は拡大していくことでしょう。

    参考元URL 「AI技術自然言語処理(NLP)とは?仕組みや活用事例、最近の研究を徹底解説」https://www.skillupai.com/blog/ai-topics/nlp/
    参考文献 菅由紀子他『最短突破データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック 第2版』技術評論社 2022