データサイエンス概論

データをビジネスに活かす!非エンジニアでもわかるデータサイエンスの基礎

「データサイエンスに興味があるけど、エンジニアでもない自分に理解できるだろうか」
「データサイエンスを学んで、論理的にビジネスの戦略を立てたい」

上記のように考えている方に向けて、データサイエンスの基礎を解説します。データサイエンスの定義や歴史だけでなく、勉強法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビジネスに活かすなら知っておきたいデータサイエンス

まずは、データサイエンスの定義や歴史など、基本的な情報を整理します。

そもそもデータサイエンスとは

データサイエンスは以下のような複数の領域を組み合わせ、大量のデータから価値を生み出す学問です。

・IT
・数学
・統計学
・経営学 など

ビジネスにおいてはデータを解析し、現在直面している課題の答えとなる知見を求めることが必要とされます。そして、データサイエンスを職業にしているのが、データサイエンティストです。

企業がWebやアンケートを用いて集めた膨大なデータをもとに、データサイエンティストはデータサイエンスのスキルを用いて分析します。

データから導き出された知見や価値は、経営課題や社会課題を解決するのに役立てられます。

近年では、インターネットの普及やコンピューターの処理速度の向上により、ビックデータと呼ばれる大量のデータを効果的に扱えるようになりました。同時にデータサイエンスが必要とされる機会が増えています。

企業には多種多様のデータが蓄積されるようになり、収集した情報を経営に活かしたいと考えているからです。

データサイエンスの歴史

データサイエンス」が注目されはじめたのは、2010年代からです。しかし、データサイエンスの起源は古く、50年以上前までさかのぼります。データサイエンスという言葉がはじめて使われたのは1974年、デンマークのコンピューター学者が発表した論文という説が有力視されています。

2000年代からはFacebookやTwitterなどのSNSの誕生、そしてiPhoneの発売などが後押しし、膨大なデータが蓄積される環境が発展しました。扱う量が急激に増えたことで、データを業務に活用することの有用性が認められはじめました。

現在では、人工知能や機械学習の発展もあり、経営課題や社会課題を解析する手がかりになるとして、データサイエンスは脚光を浴びています。

データサイエンスと人工知能(AI)との違い

データサイエンスと混同しやすい言葉に人工知能があります。データサイエンスと人工知能の違いを整理しておきましょう。

人工知能は英語では「Artificial Intelligence」であり、AIとも略されます。人工知能には決まった定義はありませんが、一般的には「人が持つ知覚や知性を人工的に再現するもの」と認識されています。

データサイエンスと人工知能は別物です。大きな違いは視点にあります。

データサイエンスでは、データサイエンティストが統計学や情報工学の知識を使って「人」の視点で情報の収集と解析をおこないます。

一方、人工知能は入力されたデータから反復的に学習し、新しいパターンを見つけだす機械学習の技術によって「機械」が自動的にデータを分析します分析を実施するのが「人間」なのか「コンピューター」なのかという違いがあります。

ビジネスにおけるデータサイエンスの重要性

ビジネスシーンにおいてデータサイエンスは、どのような役割を果たすのでしょうか。ビジネスにおけるデータサイエンスの用途や将来性について解説します。

データサイエンスの用途

データサイエンスは幅広い分野で活用されています。データサイエンスでデータを解析し実現できることは、以下のように多岐にわたります。

・顧客ごとの期待販売額を算定し、営業を効率化
・過去の人事データをもとに採用基準を明確にすることで採用工数の削減
・社員のスキルや休暇の取得日数などのデータから、余剰人員を最小化するための勤務シフト作成の自動化 など

上記のような事例はデータサイエンスが業種や業界を問わず、業務を効率化できることの証明となるでしょう。金融業や流通業、飲食業など、どのようなビジネスシーンにおいても業務を改善するデータサイエンスは、今後も需要が増すことが予想されます。

データサイエンスの将来性

年々、データサイエンスの需要は増しています。データサイエンスが求められるようになった背景には、機械学習やビックデータなどの技術的な革新があります。膨大なデータを扱えるようになったことで、企業は業務の効率を改善し利益を最大化することを目指しています。

以前であれば経営資源で重要なものは、ヒト・モノ・カネの三要素でした。近年では「情報」が加わり、ビッグデータの活用が叫ばれています。ビッグデータの拡大以外にも、日本政府がデータサイエンスの発展を援助しています。

2019年、文部科学省は「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートさせました。大学や高等専門学校などの教育機関で、データサイエンス教育が広まりつつあります。

大学によっては、データサイエンス学部が創設され、データサイエンスを学べる環境が整備されています。一方、データサイエンスが将来、人工知能に取って代わられるリスクも叫ばれています。

結論から言うと、データサイエンスの領域がすぐに人工知能に奪われる可能性は低いでしょう。

なぜなら、データサイエンスをビジネスに活用するにはデータの解析だけでなく、ビジネススキルも必要になるからです。

業界の慣習や現状を把握し、どのように業務や社会を改善するかは、人間同士の話し合いによって実行されます。データの集計と解析は人工知能の得意分野ではありますが、今後もデータサイエンスのスキルを持つ人材は重宝されるでしょう。

ビジネスにおけるデータサイエンスのメリット・デメリット 

ビジネスにおけるデータサイエンスのメリットとデメリットに関しても確認しておきましょう。順に紹介します。

メリット

データサイエンスをビジネスに用いるメリットは、大きく分けてふたつあります。

ひとつ目は「生産性の向上」です。データサイエンスでは蓄積されたデータを分析し、今何が必要なのかを的確に判断します。

例えば、業務プロセスや過去の売上などのデータを収集、可視化することで、コストの削減や業務工程の見直しが可能です。無駄な業務を減らしたり、より効率のいい業務プロセスを割り出したりすることで、生産性は向上します。

データサイエンスのメリット、ふたつ目は「データにもとづいた戦略の策定」です。人間が主観で判断すると、無意識のうちに先入観や偏見が入ってしまうこともあるでしょう。

データサイエンスではデータを根拠として、客観的に事業の方針を決められます。特に、小売業やサービス業では、売上実績や人口統計などを解析することで、データにもとづいた根拠のある意思決定が可能です。

例えば、顧客の性別や年齢、過去の購買データを分析することで、効率よくおすすめの製品・サービスを提案できます。データサイエンスで過去のデータを有効活用すれば、新たなマーケティング戦略の策定が可能というわけです。

デメリット

膨大なデータを収集できるようになった昨今、データサイエンスは重要な学問です。しかし、データサイエンスにはデメリットもあります。「大きな成果が得られない場合もあること」「コストがかかること」がデータサイエンスの課題です。

データサイエンスを用いて、業務効率の改善を図ったとしても、大きな変化が得られるとは限りません。データをもとに分析し対策を検討したとしても、「分析するまでもなく、現場の人間が日頃から考えていた」ということもあるでしょう。

また、データサイエンスをビジネスで活用するにはコストがかかります。解析の結果を業務に落とし込む場合、関係者とのすり合わせには、コミュニケーションコストがかかりますよね。

確実に大きな効果が得られるわけではないうえに、時間と人員というリソースが必要だということを理解しておきましょう。

ビジネスに役立つデータサイエンスを学ぶ方法

データサイエンスを学ぶための具体的な方法を紹介します。学び方の選択肢は近年、多様化しています。それぞれ見ていきましょう。

大学・スクール

データサイエンスを効率的に学ぶなら、大学やスクールに通うことがおすすめです。なぜなら、学習のカリキュラムが体系化されており、講師によるサポートを受けられるからです。

データサイエンスを仕事に役立てるには、ビジネスに関する知識やITのスキルも必要になります。それらを総合的に学ぶなら、数年間を通して計画的に学習できる大学やスクールに行くといいでしょう。

近年、データサイエンスに期待する声は大きくなっており、専門スクールだけでなくデータサイエンティストの育成を目的とする大学の学部も増えています。公立大学でも、滋賀大学や横浜市立大学などでデータサイエンス専攻の学部が開設されています。

専門スクールも数多くあるため、自分に適したものがあれば、受講を検討してはいかがでしょうか。

書籍

独学で学びたい場合は、書籍がおすすめです。データサイエンスに関する書籍は数多くありますが、一般社団法人 データサイエンティスト協会の推薦書籍が参考になります。その中でも、初学者向けの以下の5冊は読みやすい本ばかりです。

どれも入門書であり、初心者にもやさしい内容です。データサイエンスだけでなく、論理的な思考や統計学を学べる本もあります。気になる書籍は、ぜひ手にとってください。

データサイエンスを学びビジネスに活かそう

データサイエンスは統計学やITなどの分野を組み合わせ、大量のデータから価値を創出する学問です。膨大なデータが収集可能になった現代では、データサイエンスを経営や政策に活かすことが求められています。

生産性が向上したり、根拠のある戦略が立てられたりなど、ビジネスシーンにおいてデータサイエンスの果たす役割が大きいとみなされているためです。ITの知識のない非エンジニアの方でも、スクールや書籍でデータサイエンスを学べます。

今後も需要が見込まれるデータサイエンス。興味のある方は、ぜひデータサイエンスを学んでください。