プログラミングの知識がなくても機械学習をおこなえるツールがあるとしたら、使ってみたいと思う人は多いのではないでしょうか。実は、GUIというツールを用いれば可能です。
今回はGUIの概要やメリットなどを解説します。GUIツール10選も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
機械学習にGUIツールを使う前におさえておきたい基礎知識
GUIツールを使用する前に、機械学習やGUIに関する基礎知識を学んでおきましょう。それぞれの概要を解説します。
機械学習とは
AI（人工知能）の働きのひとつである機械学習。機械学習とは「人間が指示を与えることなく、AIが自律して物事を学習する技術」です。
例えば、AIにりんごの画像データを大量にインプットさせます。AIは機械学習の技術でりんごについて反復学習を繰り返します。
すると、人間が正解を提示しなくても、AIはりんごの画像かどうかを区別できるようになるわけです。機械学習は近年、急速に発展していますが、以下の2点が要因だとされています。
- ビッグデータの出現
- コンピューターの処理能力の向上
インターネットが世界的に普及した現代では、膨大なデータが集まるようになりました。また、コンピューターの能力も向上し、大量のデータを高速で処理することも可能になっています。
豊富なデータとスペックの高いコンピューターによって、AIが自律的に学習を進める機械学習は今後も発展することが予想されます。
プログラミング要らずのGUIとは
「Graphical User Interface」の略称であるGUI。GUIとは「端末の画面上に表示されたテキストや画像をもとにプログラムを操作できるシステム」です。
例えば、みなさんが普段から使っている「Windows」や「macOS」などのOSもGUIです。デスクトップに表示されたアイコンをクリックして操作しますよね。プログラムを書くことなく、マウスのみで操作できる仕組みがGUIです。
GUIツールのメリット
GUIには、多くのメリットがあります。特に、機械学習のGUIツールの利点を紹介します。ひとつずつ確認しましょう。
プログラミングなしでAI開発が可能
マウス操作のみでプログラミングをおこなえる点が、GUIツール最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。
機械学習のGUIツールを用いれば「Python」や「R」などのプログラミング言語でコーディングすることなく、AIを構築できます。そのため、GUIは専門知識のない初心者におすすめのツールです。
開発スピードが向上する
GUIツールを利用すれば、スピード感をもって開発を進められます。専門的な知識が不要で、直感的に操作できるからです。これまでは手動で入力していたものも、マウス操作だけで完結します。
コーディング経験のある方は、タイプミスやファイルパスの間違いなどによるエラーに時間をとられたことがあるのではないでしょうか。GUIツールを使用すれば、そういったヒューマンエラーのリスクも減らせ、開発スピードを上げられますよ。
新サービスの登場を促す
GUIはプログラミング初心者に適していますが、専門知識のあるエンジニアにとっても有用なツールです。なぜなら、GUIツールを用いると、ひとつの開発あたりの作業時間が減少するから。新しいサービスが生まれる間隔も短くなります。
AIをより身近なものにできる
「AIなんて難しくて自分にはできない」と考えている人もいるかもしれません。しかし、ノンコーディングでのAI開発を可能にするGUIツールは、プログラミングスキルのない初学者にもAIを身近なものにします。
AI開発を諦めてしまっていた人や興味のなかった方にも、人工知能へのハードルを下げてくれるのがGUIツールです。
機械学習におすすめ！GUIツール10選
機械学習のGUIツールは、数多く開発されています。10個紹介するので、興味のあるツールがあれば、ぜひ利用してください。
①AI画像認識エンジン構築サービス
「AI画像認識エンジン構築サービス」はパナソニックが開発したGUIツールです。パナソニックが長年培ったノウハウを活かし、学習データの作成やAI画像認識エンジンの構築など、深層学習を可能にします。
深層学習はディープランニングとも呼ばれ、機械学習の中でも一部の技術者だけが扱える高度な手法です。その深層学習を専門知識のない初心者でも構築できます。
②MatrixFlow
ビジネスに用いるためのAI活用プラットフォームとして開発されたのが「MatrixFlow」です。
- 売上の予測
- 需要の予測
- 異常の検知
- テキストの分析
- 採用の最適化 など
上記のような課題を解決するためのAIをプログラミングなしで、短期間に構築できます。ビジネスの課題に幅広く対応できますよ。
③Neural Network Console
「Neural Network Console」はソニーが開発したGUIツールです。Pythonのようなプログラミング言語や数学の知識も必要ありません。
マウスを使ったドラッグ＆ドロップで深層学習の設計が可能です。無料でも利用できるので、興味のある方はNeural Network Consoleの優秀さを体験してはいかがでしょうか。
④Amazon Rekognition
オンラインショップで有名なAmazon。そのAmazonのGUIツールが「Amazon Rekognition」です。画像や動画の分析を自動化できます。具体的には、顔認証やテキストの検出などが可能です。
⑤Prediction One
「Prediction One」はソニーの社内でもAI教育に用いられている予測分析ツールです。数クリックの簡単な操作で顧客行動や需要などを予測できます。製造業や金融業など、あらゆる業界のデータ活用に役立ちますよ。
⑥AIメーカー
誰もが手軽にAIを作成できるのが「AIメーカー」というWebサービスです。アップロードした画像データにラベル付けをするだけという簡単な操作で機械学習をおこなえます。面倒な環境構築も不要なので、興味のある方は利用してはいかがでしょうか。
⑦IBM SPSS Modeler
「IBM SPSS Modele」はIBMが開発しました。企業が保有している顧客の属性や購買情報をもとに、未来を予測します。
視覚的にわかりやすいようデザインされており、初心者からデータサイエンティストまで、どのレベルの人にも扱いやすいGUIツールです。
⑧dotData
企業におけるデータサイエンスのプロセスを自動化してくれるのがNECの「dotData」です。データ分析の試行錯誤にかかる時間や労力を削減でき、業務効率を改善してくれますよ。
⑨Deep Analyzer
高性能なハードウェアと開発ツールのオールインワンパッケージが「Deep Analyzer」の特徴です。データを外部にアップロードしなくても作業ができるため、クラウドに送れないような機密データを用いた分析が可能です。
⑩Azure Cognitive Services
マイクロソフトが提供するGUIツールに「Azure Cognitive Services」があります。
- 視覚
- 音声
- 言語
- 意思決定
人間のもつ上記4つの認知機能を人工知能で再現することが得意で、学習済みAIを用いた迅速な開発がおこなえます。
GUIツールを使って効率的に機械学習を実現しよう
プログラミングの知識がなくても機械学習を構築できるのが、GUIツールです。GUIツールを利用すれば、開発コストをおさえたうえでスピーディーに機械学習をおこなえます。
GUIツールが数多く開発されているので、自身の目的に適したものがどれかを検討し、ぜひ活用してください。
