機械学習

機械学習には必須?クラウドサービスとは

インターネットにつながれば、どこにいても利用できる便利なクラウドサービス。実は、機械学習の分野でもクラウドサービスが存在します。

今回は、そんな機械学習に関するクラウドサービスを紹介します。機械学習やクラウドサービスについて、基礎的な内容も解説するのでぜひ参考にしてください。

機械学習の概要

まずは、機械学習の概要について解説します。人工知能や機械学習に関する基礎的な事柄を学んでおきましょう。

そもそも人工知能とは

人工知能(AI:Artificial Intelligence)は、いま最も注目されているテクノロジーのひとつです。人工知能の定義はいまだ確立されていませんが、一般的には「人間の知能をコンピューターで再現すること」と理解されています。

人工知能の歴史は古く、1950年代に最初のAIブームが起こりました。第2次ブームは1980年代。そして現代は、第3次ブームに入っているといわれています。

ブームのたびに進化を遂げた人工知能ですが、現在の第3次ブームで特徴的なのは「機械学習」の発達です。

機械学習とは

機械学習は、データを分析する手法のひとつです。過去の情報を「機械(コンピューター)」自身が自動的に「学習」し、データの裏に隠された知見を発見します。

機械学習のメリットは、学習した成果にもとづいた「予測・判断」が可能になる点です。いかに高い精度を保ったまま、データから役立つモデルを構築できるかが焦点になります。

クラウドサービスとは

クラウドサービスとは「オンライン環境さえあれば、ネットワーク経由でどこからでも利用できるサービスのこと」です。

従来は手元にあるコンピューターで、データやソフトウェアを管理していました。しかし、クラウドサービスでは最低限の環境をそろえることで、どの端末からでもさまざまなサービスにアクセスできます。

サーバーやネットワークなどを自分で所有したり管理したりする必要がないため、サービスを利用しやすいうえに、コストを削減することも可能です。また、利用量に応じた柔軟なキャパシティの増減もできます。

クラウドサービスの種類

クラウドサービスにはサービスの提供形態の違いから、3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を紹介するので、順に確認しましょう。

SaaS

SaaSは「Software as a Service」の略です。ソフトウェアの機能をクラウドサービスで提供しています。

ソフトウェアをインストールする必要がないため、利用をはじめるまでに手間がかからない点がメリットです。具体的なサービスとしては、Googleが提供しているメールサービスである「Gmail」が有名です。

IaaS

IaaSは「Infrastructure as a Service」の略称です。サーバーやストレージといったパソコン本体に備わっているような機能をクラウドサービスで利用できます。

使用するには最低限の知識が必要ですが、保守・管理の必要がないというメリットがあります。代表的なIaaSとしては、Amazonが提供している「AWS」やGoogleの「GCP」などが代表的です。

PaaS

「Platform as a Service」の略であるPaaS。アプリケーションやデータベースなどのプラットフォーム機能をクラウドで提供しているサービスです。

ユーザーはアプリケーションに関する作業をおこなう手間が省け、業務をより効率的に進められます。サービス例としては、Microsoftの「Azure」やAmazonの「AWS」などが挙げられます。

3つの主要なクラウドサービス

クラウドサービスの中で、主要な3つのサービスについて解説します。

AWS

ネットショッピングで有名なAmazonが提供しているのが「Amazon Web Services(AWS)」です。Amazonが提供する数多くのクラウドサービスの総称で、以下のような多様なテクノロジーを利用できます。

  • データ分析
  • 機械学習
  • ブロックチェーン
  • アプリ開発
  • データベース など

金融業から製造業、小売業まで、幅広い業界で活用されているクラウドサービスです。

Azure

「Azure」はMicrosoftの提供するクラウドサービスです。サーバーやネットワークなどのITインフラをクラウド上で提供しており、世界中の一流企業が利用しています。

IoTやブロックチェーン、機械学習など、さまざまな業務をクラウド上でおこなえるプラットフォームも提供しており、目的に合わせて適したサービスを利用可能です。

GCP

GCPは「Google Cloud Platform」の略です。Google社内で実際に使われている技術やインフラを使用し、効率的にWeb開発をおこなえます。

快適な通信と高い安定性を強みとしており、人工知能や機械学習に関連したサービスも充実しています。

機械学習に役立つクラウドサービス7選

機械学習に有用な具体的なクラウドサービスを7つ紹介します。それぞれの特徴を確認しましょう。

①Amazon SageMaker

「Amazon SageMaker」は機械学習モデルの構築やトレーニング、デプロイが可能なマネージド型のサービスです。ひとつのツールセットで機械学習モデルの構築から管理までが完了するので、開発の手間とコストを大幅に削減できます。

②Amazon Polly

機械学習の中でも高度なディープランニングを活用し、テキストを音声に変換できるクラウドサービスに「Amazon Polly」があります。

何十種類ものリアルな音声を多言語でサポートしているのが強みです。いろいろな国に対応した自然な音声を合成できますよ。

③Amazon Transcribe

「Amazon Transcribe」はAmazon Pollyとは逆で、音声を文章に変換するクラウドサービスです。音声データを読み込ませることで、通話記録の文字起こしや字幕の自動生成などをおこなえます。

④Azure Machine Learning

「Azure Machine Learning」には豊富なライブラリが用意されており、予測モデルの作成や運用・管理などが可能です。コーディングをすることなく、ドラッグ&ドロップのマウス操作だけで機械学習モデルを構築できますよ。

⑤Vertex AI

「Vertex AI」は、GCPに内包されている機械学習プラットフォームです。機械学習APIの利用だけでなく、以下のようなさまざまなことが可能です。

  • AutoMLトレーニング
  • モデルのデプロイ
  • 予測のリクエスト など

⑥Vision AI

「Vision AI」はGCPが提供している機械学習サービスのひとつです。「Vision AI」を使えば、Googleのもつ画像関連の機械学習モデルを使用できます。例えば、写真から顔を検出したり、画像の中にある商品ロゴを抽出したりといったことが可能です。

⑦Natural Language AI

自然言語処理が可能なGCPのクラウドサービスに「Natural Language AI」があります。自然言語処理とは「自然言語(人間の言語)を機械が処理して内容を抽出すること」です。Natural Language AIを用いれば、テキストから情報を引き出せます。

クラウドサービスを有効活用し機械学習をスムーズに進めよう

オンライン環境さえあれば、どこからでも利用できるクラウドサービス。高度な技術を必要とする機械学習の分野においても、多くのクラウドサービスが開発されています。

AmazonのAWSやGoogleなどGCPが有名で、それぞれがさらに多くのサービスを内包ており、機械学習を効率よく進められます。目的に合ったクラウドサービスを選び、自身の開発や今後のキャリアに活かしてくださいね。